本棚のすき間でつかまえて

本の感想をばかりを書いているブログです。

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

プラトン「メノン」 翻訳:藤沢令夫

徳とは何か? プラトン著「メノン」を読みました。メノンとは人の名前――、彼はゴルギアスという弁論術の大家から教えを受けていて、既に色々と知っているつもりになっている若者です。今作のとっかかりはこう――、メノンがソクラテスに聞くんです。「徳とは人に…

チャールズ・ブコウスキー「パルプ」 翻訳:柴田元幸

男は「最高!」と言い、女は「最低!」と言う コレクションとして本棚に並べるために買った1冊。以前に図書館で借りて読んだことがあったので、この本は棚へと直行するはずだったのに……、つい1ページ目をパラっと開いたが最後、止まらなくなりました。ということ…

コ―マック・マッカーシー「チャイルド・オブ・ゴッド」 翻訳:黒原敏行

文学的に美しく描かれる殺人 今作は1960年代にアメリカで実際に起きた連続殺人事件をモチーフにした作品です。この手の事実を元にした小説はいろいろあると思いますが、僕が読んだ作品のなかでパッと思いだせるのはトゥルーマン・カポーティの「冷血」。マイケ…

ホーソーン「緋文字」 翻訳:八木敏雄

とあるモチーフがある話 古典を読むことの面白さは、時代がかわっても変わらない人間の普遍的な何かに気がつかされるあたりだと思います。今作、出版されたのが1850年ですが――、著者ホーソーンが描いたのは1650年ころのアメリカについて。1650年頃(17世紀半…

イタロ・カルヴィーノ「レ・コスミコミケ」 翻訳:米川良夫

12編からなる短編集。短編の感想はどう書いたらよいものか……律儀に一遍を読み終えるたびに感想を書いていたら、ずいぶんとボリュームのあるものになってしまった(それでいて1編あたりの書き込みは少ないので内容は中途半端)。短編の感想をどう書くのかは今…

アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」 翻訳:福田恆存

とある老人の尊厳の物語 再読です。僕の心のなかにある「いつか読み直したいリスト」の上位にあった今作――、ヘミングウェイと言えば、まっさきに思い浮かぶ今作。人気作家故にいろいろと揶揄されるヘミングウェイですが――、しかしヘミングウェイという名前は…

プラトン「ゴルギアス」 翻訳:加来彰俊

今作のテーマは弁論術について プラトン著「ゴルギアス」を読みました。ゴルギアスとは人の名前――、古代ギリシアにおける弁論術の第一人者です。彼は多くの生徒を教えていて「弁論によっていかに人々を従わせることが出来るか」の技術を磨いていた人物。とい…

オラシオ・カステジャーノス・モヤ「無分別」 翻訳:細野豊

真実という重み…… 翻訳者によるあとがきを読むと、この作品の持つ重みが変わってくる。この作品の内容はとある男が千百枚にも及ぶ虐殺の記録原稿を整理編集するというもの。その虐殺というのはグアテマラで36年間という長さに及ぶ内戦の中でマヤ族という民族…

オルハン・パムク「わたしの名は赤」 翻訳:宮下遼

わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫) 作者: オルハンパムク,Orhan Pamuk,宮下遼 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/01/25 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (18件) を見る 異国情緒あるれる文学 著者、オ…

これまでの感想一覧

これまでに書いた読書感想記事を一覧にしています。 カテゴリー別にまとめて過去の記事に移行するようにリンク付けしました。 海外文学(翻訳本)が中心です。 もしよければ覗いて見て下さい。

トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」 翻訳:志村正雄

難解と言われるピンチョン。何が解らなかったのか? 2回読みました。それでもしっかりと把握出来た感じはしない。ピンチョンと言えば難解と言われますが、今作はそのなかで一番簡単な作品のようなんです。だけどやっぱり難しい……、たぶん噛みしめながら読ん…