本棚のすき間でつかまえて

本の感想をばかりを書いているブログです。

フランス文学

サミュエル・ベケット「ゴトーを待ちながら」 翻訳:安堂信也・高橋康也

これはウラジミールとエストラゴンの二人が、ゴドーという人物が来るのを待つ話。二人はゴトーを待ちながらたわいのない話を繰り返している。舞台は木が一本だけ立っている田舎道。いつまで経ってもゴトーはやって来る様子はない。「立ち去ろうか」「いやゴトー…

アンドレ・ブルトン「シュルレアリスム宣言 溶ける魚」 翻訳:巖谷國士

シュルレアリスムの生みの親であるアンドレ・ブルトン(1896-1966)が1924年に起草した今作「シュルレアリスム宣言」。これは新たな芸術、縛りつけられた魂の解放、既存の価値観からの脱却などを求めた宣言だが、この内容は当時の人たちには衝撃をもって受け…

モーパッサン「女の一生」 翻訳:新庄嘉章

箱入り娘がみた夢 自死で生涯を閉じようとしたモーパッサン。今作を読むとモーパッサンが人生というものをどう捉えていたのかが解るような気がする。今作はプロット自体は現在においてはよくあるもので、将来を夢見る娘(箱入り娘)が大人になり現実を知って…

アンドレ・ブルトン「ナジャ」 翻訳:巖谷國士 

美を追求する姿勢 ひらめき、勘、直観、予感、第六感、etc…… ある時にふと、自分の行動はそんなものに導かれているのではないか? と感じてしまうことは誰にでもあるのだと思う。著者アンドレ・ブルトンはシュルレアリスムという思想の生みの親のようだが、…