本棚のすき間でつかまえて

本の感想をばかりを書いているブログです。

その他の国の文学

エイモス・チュツオーラ「ブッシュ・オブ・ゴースト」 翻訳:橋本福夫

エイモス・チュツオーラ(1920-1997)はナイジェリアの作家であり、代表作「やり酒飲み」はアフリカ的マジックリアリズムとして世界各国で読まれている小説。今作「ブッシュ・オブ・ゴースト」は「やし酒飲み」の次に書かれた作品であり、アメリカのロックバンド「ト…

ボルミル・フラバル「あまりにも騒がしい孤独」 翻訳:石川達夫

ボフミル・フラバル(1914-1997)はチェコの作家。若かりし頃は共産党の体制下(スターリン主義体制)で自由な出版が許されていなかった。1960年代に入りチェコスロバキアには自由化の兆しが見え始めるが1968年にソビエト軍の侵攻「プラハの春」によって再…

J.M.クッツェー「夷荻を待ちながら」 翻訳:土岐恒二

冒頭のあらすじ 舞台は帝国領の辺境にある、とある城壁都市。主人公はその地で長らく民政官を務めていた初老の「私」。郊外には夷狄と呼ばれる土着の民族――、遊牧民、漁を生業にする種族、なにやら不明な蛮族などなどがいる。とにかく帝国の境目である辺境の…

イタロ・カルヴィーノ「レ・コスミコミケ」 翻訳:米川良夫

12編からなる短編集。短編の感想はどう書いたらよいものか……律儀に一遍を読み終えるたびに感想を書いていたら、ずいぶんとボリュームのあるものになってしまった(それでいて1編あたりの書き込みは少ないので内容は中途半端)。短編の感想をどう書くのかは今…

オルハン・パムク「わたしの名は赤」 翻訳:宮下遼

わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫) 作者: オルハンパムク,Orhan Pamuk,宮下遼 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/01/25 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (18件) を見る 異国情緒あるれる文学 著者、オ…

J.M.クッツェー「恥辱」 翻訳:鴻巣友季子

デヴィッドが捨てたもの 南アフリカのケープタウンで大学教授をやっているデヴィッド。彼は二度の離婚を経験し、今ではもう結婚には興味がなくなっている。性欲は娼婦で満たせばいい……、そんな考えに落ち着いていた。しかしある日にデヴィッドは一人の女生徒…