本棚のすき間でつかまえて

本の感想をばかりを書いているブログです。

日本文学

岩城けい「さようならオレンジ」

「さよなうなら、オレンジ」を読みました。今作は公募による新人賞である太宰治賞を受賞した岩城けいさんのデビュー作。その後、単行本が筑摩書房より出版されると芥川賞の候補作となり、三島賞の候補作にもなった。この二賞は候補で終わったけれども――、大江…

辻原登「冬の旅」

とある日に刑務所から出所した男の行方は? 5年の刑期を終え滋賀刑務所から出所した緒方(主人公)の所持金は17万とわずかだった。大阪の街に戻ってくると辺りを彷徨い、酒を飲んで女を買った。そして博打に手を出してしまうと、わずか3日で金は底をついた。や…

辻仁成「人は思い出にのみ嫉妬する」

これは恋愛小説です。恋愛ドラマに求めるものは人それぞれで違うものだと思いますが、僕の場合――、解らなければ解らないほど恋愛の感情にはふさわしいように思えます。不可解だからこそ、自分が何に突き動かされているのか解らないほどに、そこに潜む感情は…